皆さんはお風呂で体を洗うときどのようにされていますか?
私は小さい頃、綿のタオルに石鹸をこすりつけて泡立ててからタオルで洗うよう習い、
しばらくそのようにしていました。
しかし綿のタオルは泡立ちが悪く、なかなか泡が体についてくれず面倒だったように思います。
高校生の頃からか、ナイロン製のタオルの存在をしって使ってみると泡立ちがよく、しばらく愛用していました。
ところがこのナイロンタオル、皮膚科医になってみるとかなりやっかいな存在とわかってきました。
素材、製品にもよるかと思いますが、ナイロンタオルの繊維が固いため
ゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけることがよくあります。
湿疹はかきむしるとどんどん悪化して治りにくくなってしまいますが、
それと同様にナイロンタオルでこすられた皮膚は湿疹になりやすく、治りにくくなってしまいます。
湿疹のかゆいところをナイロンタオルで擦ることが気持ちいいため、
中々やめられず慢性のひどい湿疹になることもあります。
また、ナイロンタオルの保管にも問題があります。
皆さんはお風呂で使うタオル、どこに置いていますか?
毎回洗濯する方、毎回天日干しされる方は大丈夫ですが
浴室内で干している方、要注意です。
浴室は換気扇、窓で通風してもやはり湿気の溜まりやすい場所です。
浴室にタオルを置いていると湿気を好む緑膿菌が増殖することがあります。
とくに丸い形など、中心部分が乾きにくいナイロンタオルはかなり不潔です。
緑膿菌の増殖したタオルで皮膚を傷つけながらあてこすると
その傷から菌が進入し、感染症を起こすことがあります。
緑膿菌性毛包炎といいますが、実は毛穴の無い手のひらにもできるので
厳密には毛包炎とは限りません。
いわゆる「にきび」は毛包炎のことですが、顔、胸、背中くらいしかできません。
腕や足ににきびができた場合は緑膿菌性毛包炎を疑い、
培養検査をして確定となります。
お話をきくと大抵ナイロンタオル+浴室干しの組み合わせです。
今は自分自身、手であわ立てて手で洗うようにしていますし、
患者さんにも手洗いを勧めています。
ゴシゴシ洗うことよりもなで洗いの方が実は清潔で、皮膚にも優しいんです。