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アトピー性皮膚炎のメカニズム

カテゴリー:
公開日:
2015年03月18日

アトピー性皮膚炎」という病気は知らない人はいないほど有名な病名ですが、
「アトピー」という言葉の意味がわかりにくいので
その病態をしっかり理解している人はほとんどいないと思います。


近年その病態がかなり明らかとなってきていますので簡単に解説したいと思います。


アトピー性皮膚炎の実態は「遺伝性のある乾燥肌」といえます。
最近アトピーの原因遺伝子のひとつ(アトピー患者の約3割が異常あり):フィラグリンが特定されました。
(京大病院皮膚科の先輩の偉業!!)
皮膚の保湿能力にはフィラグリンというタンパク質が大きく関係しており、
このフィラグリンというタンパク質の設計図である遺伝子に異常があると
フィラグリンの働きが落ち、皮膚が乾燥しやすくなります。

数ヶ月も雨が降らなかった田んぼを思い浮かべてください。
からからに乾いた土は亀裂が入り、隙間だらけになりますね。

皮膚も乾燥が強くなると隙間ができて、ダニやホコリといったアレルギー物質が入りやすくなります
そうすると炎症が起こり、赤み、かゆみがでてきてしまいます。
炎症やかきむしりにより、さらにアレルギー物質が皮膚内に入りやすくなり
さらに炎症が起こるといった悪循環に入ってしまいます。

これがアトピー性皮膚炎の簡単な病態です。


このメカニズムを理解するとおのずと何が治療に大事か見えてきます。


どんな疾患も何より原因をたたくことが大事ですので
乾燥するなら保湿が最も大事ということになります。


さらに、炎症の悪循環に入ってしまった箇所は保湿だけではおさまらないことが多いので
ステロイド外用剤でガツンと炎症を押さえ込み、悪循環を絶つことが必要になります。

炎症が起こるとすぐ悪循環に入るので、ステロイド外用剤は赤い所、かゆい所があれば
積極的に使ったほうがうまくコントロールできます。
副作用を怖がってステロイド外用をためらっているうちに、どんどんひどくなってしまい
結局大量、長期に強いステロイドが必要になってしまうことがあります。


症状が改善したあとも保湿を続けるのが再発予防に大事ですが
面倒なのですぐに保湿をやめてしまう方も多く、結果的にステロイド外用剤頻用がメインになってしまいます。

病態を理解していただけると、保湿の重要性もわかっていただけると思います。
たっぷり保湿をして継続的にスキンケアをしましょう。



また、冬の乾燥による湿疹(皮脂欠乏性皮膚炎)も
手洗いによる乾燥の手荒れ(手湿疹、主婦湿疹)も
遺伝性がないだけで、本質的には乾燥→湿疹という面はほぼ同じ病態です。
洗い物は手袋するなどして乾燥の原因を減らし、保湿をこまめにするのが大事です。

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