洛西口駅、桂川駅エリアの皮膚科「医療法人はやし皮フ科クリニック」

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皮膚の癌は見逃されやすい!

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公開日:
2015年03月23日

当院が開院して8ヶ月になろうとしていますが
思いの外、皮膚癌の患者様が多く驚いております。
しかも、そのおよそ半分は残念ながら他の医療機関で見逃されていたものでした。

皮膚は目で見えるものだから見逃すはずがないと思われるかもしれませんが、
皮膚癌には他の皮膚疾患に似たものが多く、見分けが難しいことがあります。

診断には皮膚を切り取って顕微鏡で見る検査(生検)が必要です。
まずは疑うこと、そして検査を受けることが重要です。
やはり皮膚疾患は皮膚科専門医の目で見て判断することが必要かと思います。


見逃されやすい皮膚癌の代表例をお示しします。


◎乳房外Paget病(にゅうぼうがいぱじぇっとびょう)、Paget病
Paget病乳房にできるものを指し、乳房外Paget病陰部わきにできる皮膚癌です。
残念ながら皮膚癌の中では悪性度は比較的高く、治療が遅れると全身に転移したり、命に関わることもある癌です。
見た目は湿疹に見えるかゆみを伴うこともありますので、湿疹として対処されやすく見逃されやすいことで有名な皮膚癌です。
専門医でも一目では診断が難しいため、ステロイド外用薬を使用してみて改善がない場合に疑うこともあります。
乳房、陰部、腋窩に赤み、かゆみがあり、かぶれや湿疹と言われたが
ステロイドを塗っても少ししか改善しない、すっきりしない、などあれば皮膚科専門医受診をお勧めします。


◎基底細胞癌 
顔や体の中央よりにできやすい黒い皮膚癌です。
表面がつるっとした光沢のある黒い盛りあがりのことが多く、ただれも伴うこともあります。
悪性度は比較的低く、転移しにくいため手術でしっかり切除すれば治癒が期待できます。
ほくろや老人性いぼに類似することもあるので、見逃されることがあります。
こちらはダーモスコピーという拡大鏡である程度見分けることができますので
必ず生検しなければならないことはありません。
心配であれば気軽に皮膚科専門医に受診ください。


◎有棘細胞癌、Bowen病 
様々な見た目がありますが、多くは角質が増加して皮膚の上に分厚いかさぶたとなり、いぼのように見えます。
また、赤みも出ることが多く湿疹にも見えます。
ただれも伴ったり、まれに深い皮膚潰瘍となることもあり、血流の悪さからできる潰瘍と間違われてしまうこともあります。
やはり潰瘍や湿疹、いぼの治療をしていて治りが悪い場合は生検をしたほうがいいと思います。
早めに見つけることができれば手術のみで治癒しますが、
進行すると転移を起こし、命に関わることも珍しくありません。


◎悪性黒色腫(メラノーマ)
いわゆる「ほくろの癌」です。
最近はテレビなどで特集されることが多いため認知度は高いかと思います。
極めて悪性度が高い皮膚癌で、すぐに転移を起こしてしまい手術で取りきれなくなってしまいます。
私の義理の兄もこの皮膚癌で命を落としてしまい、非常に憎らしい癌です。
早期発見、早期治療が大事ですので、怪しいと思えばすぐに皮膚科専門医を受診ください。
発症初期は一見ほくろや、老人性のシミに見えますが、その色の濃淡や形、境界に不規則性が見られます。
また、拡大スピードが速いのも大きな特徴で、逆に数年間大きさが変わらなければさほど心配はありません。
この癌もダーモスコピーという拡大鏡である程度の診断が可能です。
気軽に受けられる検査ですので、心配であれば受診ください。

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